セルフメディケーション シリーズ 対談:口腔からのセルフメディケーション

セルフメディケーション シリーズ 対談:口腔からのセルフメディケーション

  • 1
  • 2
  • 3
  • 1
  • 2
  • 3

連載Vol.1 はじまりはマルチトール 日本アンチエイジング歯科学会会長 松尾 通氏(医学博士)

日本アンチエイジング歯科学会会長 松尾 通氏(医学博士)

連載Vol.1 はじまりはマルチトール

Q:
今日はどうぞよろしくお願いします。弊社が『ドクターズチョコレート』を開発中だった2012年頃、マルチトール(※1)の健康への影響について書かれた文献を探していたんです。そんなとき偶然、松尾会長が書かれた論文と出会って…。偶然とはいえ、非常に驚きました。
A:
僕もです。ご縁ですねえ。自分が40年以上も前に書いた論文を、妙齢の女性がコピーを手にひらひらさせながらある日、不意に現れたんだから。それまでマルチトールで学位論文を取ったことすら、すっかり忘れていて…あのとき、とても感動したのを覚えています。と同時に、学位というものの意義、学問の結果を残すことの大切さを実感しました。
Q:
マルチトールに着目されたのは、歯科医だからでしょうか?
A:
そう。話は昭和40年代前半にさかのぼりますが、当時、砂糖の摂取が増えたことで、日本じゅうで虫歯が蔓延してた。そこでどうにか虫歯を減らすことができないかと、砂糖に替わる代替甘味料の研究が始まっていて…僕はマルチトールやキシリトールなどの糖アルコールに注目し、その研究を7年ほどやってたのね。そして昭和48年に歯学博士の学位を取得したんですが、ずっと臨床の現場にいたので、池田さんが論文を見つけだしてくれたことに感激してね…。この出会いから、「食」についての興味や関心がさらに高まり、それが現在の学会での取り組みにつながっていったんです。
カフスには松尾医院のシンボルマークが刺繍してある
Q:
会長が設立された日本アンチエイジング歯科学会では、口腔の専門家としてのお立場から、どのように「食」にアプローチしていらっしゃるのでしょうか?
A:
言うまでもなく食生活は健康と深く関わっていて、よく噛むことで唾液が分泌され、虫歯だけでなく歯周病の予防にもなります。また最近では認知症との関連性についても研究が進み、歯がない人ほど認知症になりやすいということもわかってきてるし、こうした背景から、歯科医も「食」を正面から見据えた活動を行うべきだと。日本アンチエイジング歯科学会では<フード部会>を設け、学術大会を開催したり、アンチエイジング弁当を開発するなど、熱心に取り組んでいます。池田さんの『ドクターズチョコレート』も 低GI(※2)で、「機能性おやつ」の推奨商品として登録されて、僕の活動におおいに通じるところがあると思います。
※1:マルチトール
糖アルコールの一種。酵素糖化法によって澱粉から作られる二糖類のマルトースを原料として生成される。耐熱性に優れ、砂糖の約90%の甘味を有し、腸管から比較的吸収されにくい。ヒトの小腸粘膜酵素によって1/40程度しか分解・吸収されないと言われる。
※2:低GI
GIは食後の血糖値の上昇を示す指標。食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までに血液中に入る糖質の量を計ったもの。グリセミック・インデックスの略。

VOL.2 へ続く >>

松尾 通(まつお・とおる)
プロフィール
歯学博士。松尾歯科医院院長。日本歯科大学卒。東京・目黒に松尾歯科医院を開業し、歯科医として活躍する一方、「美しい歯と笑顔」の効用と重要性を早くから説いてきた「スマイル運動」の提唱者。日本アンチエイジング歯科学会会長、一般社団法人日本歯科TC協会理事長、日本歯科審美学会顧問、米国歯科審美学会フェロー、日本歯科人間ドック学会監事など、数々の要職を務める。趣味は旅行、音楽、映画、俳句。

日本アンチエイジング歯科学会 
http://www.jd-aa.net/

美顔のススメ 口元から始めるアンチエイジング』 松尾 通 著
(インプレス・クイックブックス)

書籍紹介ページへ(Amazon)
【 TOPページ へ 】