セルフメディケーション シリーズ 対談:おやつとセルフメディケーション

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連載Vol.3 ムードフードとしてのおやつ 「日本を健康にする!」研究会会長 矢澤 一良氏

「日本を健康にする!」研究会会長 矢澤 一良氏

連載Vol.3 ムードフードとしてのおやつ

Q:
おやつを食べるとき、私は楽しくてわくわくしてしまいます。
A:
そうなんです。もともと食べ物には、身体に栄養を補給する第一次機能、食べることによって五感を活性化させる第二次機能、機能性成分が健康維持や増進を図る第三次機能があります。この二次機能は、食べるときに五感が刺激されて得られるものです。おいしそうな食べ物は見て楽しめますし、いい匂いを嗅いだり、食べ物を調理する音を聞いたり、食感を楽しんだりして、リラクゼーションになりますね。五感に訴えるようなものは、脳に伝わり、血流をよくしますし、免疫機能も上がるんですよ。
Q:
おやつでリラクゼーションなんて、心理面でもいい影響がありそうですね。
A:
その通りです。まさに「ムードフード」です。「ムードフード」とは、緊張感や不安からくるストレスを緩和したり、安眠に導いたりする成分を含んだ食品のことですが、こうしたおやつを食べれば、情緒的なものをコントロールする助けになるでしょう。例えば、DHAは、脳の機能の改善だけでなくうつ状態の方や、ADHA(注意欠陥多動性障害)の子どもたちにも効果があります。ほかにも、お茶に含まれるテアニン(アミノ酸の一種)、発芽玄米に多く含まれるGABA(Gamma Amino Butyric Acid)なども、脳の神経伝達をよくして精神を安定させてくれる成分です。チョコレートのカカオに含まれるポリフェノールにも強い抗酸化作用がありますから、積極的に補いたいムードフードのひとつですね。
矢澤先生に贈られた額。先生の信条をよく表している
Q:
チョコレートには、食べると幸福感や快感を感じられる脳内物質も含まれているそうですね。食べることで幸せを感じてもらえたら本当に嬉しいです。
A:
現代の私たちは常に様々なストレスにさらされています。災害に遭ってPTSDになったり、不安に押しつぶされそうになったり…そういう状況でも、食べ物の食べ方、選び方で、できるだけ多くの人が元気に生き生きと生活できるよう、お手伝いをしたいと考えています。

機能性おやつにはその力が秘められているというわけですね。私どもも少しでもそのお役に立ちたいと思います。今日は先生にお話を伺うことができて、大変勉強になりました。どうもありがとうございました。

[取材日 2016.11.02]

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矢澤 一良(やざわ・かずなが)
プロフィール
「日本を健康にする!」研究会会長。早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門研究院教授。1972年京都大学工学部工業化学科卒業。株式会社ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務ののち財団法人相模中央化学研究所に入所。東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医科学研究所設立、東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座客員教授、東京海洋大学「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究プロジェクト特任教授を経て2014年より現職。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。『ニッポンを元気にする!「機能性おやつ」の効能&レシピ』(impress QuickBooks) 他著書多数

「日本を健康にする!」研究会 
https://www.nihon-kenko.jp/

ニッポンを元気にする!「機能性おやつ」の効能&レシピ』 矢澤 一良 著
(インプレス・クイックブックス)

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