セルフメディケーション シリーズ 対談:チョコレートとカラダのおいしい関係について

セルフメディケーション シリーズ 対談:チョコレートとカラダのおいしい関係について

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連載Vol.2 チョコレートと腸内フローラ 愛知学院大学心身科学部 客員教授 大澤 俊彦氏(おおさわ としひこ・農学博士)

愛知学院大学心身科学部 客員教授 大澤 俊彦氏(おおさわ としひこ・農学博士)

連載Vol.2 チョコレートと腸内フローラ

Q:
このところ高カカオチョコレートが流行りですが、選ぶ際の注意点はありますか?
A:
カカオポリフェノールを多く含むチョコレートは体に良いのですが、カカオ度数が高すぎると苦いし、甘くて食べやすいものは砂糖を含むので摂取量に注意が必要です。白い砂糖は体内でタンパク質と結びついて悪さをします。老化の原因物質の一つとしてとしても注目されているAGEs(Advanced Glycation End-products)は糖化したタンパク質から発生する「終末糖化酸化物」。糖質のとり過ぎは、体全体の老化を招くのです。乳酸菌入りチョコレートなど、メーカー各社が企業努力を重ねていますから、消費者もポリフェノールや砂糖の種類など、表示をよく見て選びたいですね。
Q:
「ドクターズチョコレート」は、白い砂糖の約3分の1のカロリーのマルチトール※を使っているため、糖尿病の方にも食べていただけます。カカオ度数は、高いほど健康に良いイメージがありますが、ポリフェノール量はカカオ度数と比例するのですか?
A:
カカオ度数は、チョコレートに含まれるカカオマスの量が多いほど高くなり、ポリフェノールはカカオマスにしか入っていません。
Q:
「ドクターズチョコレート」は、一般のカカオ度数70%のチョコレートとほぼ同量のポリフェノールを含んでいますが、度数が55.6%なので誤解されがちです。大切なのはポリフェノールの量なので、そこをわかりやすく伝えていくことが課題です。
A:
チョコレートの有効成分は、ポリフェノールに限りません。カカオマスを除いて製造するホワイトチョコレートにはポリフェノールが含まれませんが、カカオバターにも利点はあります。ベータカロテンやリコピンなどのカロテノイドのようなフィトケミカルは、脂肪があると吸収率がぐんと増すので、カカオバターと相性が良いのです。ですから、オレンジピールをチョコレートでくるんだお菓子(オランジェット)は、とても理にかなっています。日本野菜ソムリエ協会も、野菜や果物とチョコレートを組み合わせて食べる「チョコベジ」を提案していますしね。いろいろなバリエーションで、フィトケミカルをおいしく楽しく生活に取り入れていく工夫が大切です。
※マルチトール:
血糖値やインスリン分泌への影響がほとんどない甘味料

VOL.3 へ続く >>

大澤 俊彦(おおさわ・としひこ)
プロフィール
愛知学院大学心身科学部 客員教授。農学博士。1946年兵庫県生まれ。1969年東京大学農学部農芸化学科卒業、1974年同博士課程修了後、1977年までオーストラリア国立大学でリサーチフェロー。名古屋大学で機能性食品の研究を続け名誉教授に。1989年よりカリフォルニア大学デービス校環境毒性学部客員教授。2010年に名古屋大学発ベンチャー「株式会社ヘルスケアシステムズ」を立ち上げる。同年より現職。Antioxidant Unit(食品の抗酸化力の統一指標:略称A.O.U)研究会理事長、日本酸化ストレス学会理事、日本食品安全協会理事、「日本を健康にする!」研究会副会長などを務める。共著に朝倉書店『チョコレートの科学』 (食物と健康の科学シリーズ) など。

※掲載プロフィールは取材日(2017.2.16)当時のものです。

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