セルフメディケーション シリーズ 対談: 機能性表示食品とセルフメディケーション

セルフメディケーション シリーズ 対談: 機能性表示食品とセルフメディケーション

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連載Vol.1 消費者にわかりやすい機能性表示食品 森下竜一(もりした・りゅういち)
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士

森下竜一 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士

連載Vol.1 消費者にわかりやすい機能性表示食品

池田アイコン:
本日はよろしくお願いいたします。先生は、健康食品の機能性表示を進めることにより、国民の健康増進や関連産業の育成に役立つのではないかという提言をされています。まずはその背景についてお聞かせください。
森下アイコン
現在の日本の医療状況は、世界的に見ても高いレベルにあります。平均寿命も延びていますが、その方が亡くなるまでの間に健康で過ごせる期間、いわゆる健康寿命との差は10年くらいあります。この健康寿命を延ばし、単に長生きをするというのではなく、いかに健康な状態で長く日常生活をおくれるかが今、国民の大きな課題となっています。そのような背景から、現政権のもと、健康・医療戦略を一本化するために「健康医療戦略推進室」が作られ、私はそこでアドバイスや提言を行う戦略参与を拝命したのです。 一方で、超高齢化社会の日本では生活習慣病などの慢性疾患に関する医療費が増大し続けており、その問題解決が急務になっています。そこで、健康を維持するために、公的な保険だけでなく、各人うまくお金を使って生活習慣の改善や健康食品を上手く活用していただき、かつ、それが産業化に繋がるような仕組みができないだろうかという議論が始まったわけです。 これまでは、国民の60%の人が摂っているサプリメントでも、実際にデータがあっても効果効能を表記できないという状況でした。事業者の努力が報われにくく、消費者にとっても正しい情報を見分けるのが難しい。これを解決するものとして26年前にできたのが、「特定保健用食品(トクホ)」の制度ですが、これは消費者庁の認可が必要で、認可を得るのに長い期間と莫大な費用がかかります。こうした状況を改善し、事業者の方にはより自分たちの研究成果を活かせるように、消費者の方には、ご自分の健康に合い、なおかつエビデンス(科学的根拠)があるものを選べるように、「機能性表示食品」に関する提言をさせていただくことになったのです。
池田アイコン
わかりやすく「見える化」して、消費者が自分の体のために何がいいかを正しく選べるような制度をご提案されたんですね。
森下アイコン
そうです。2015年に制度ができてから2年半が過ぎたところですが、すでにトクホの製品数を超え、現在、約1300品目の届け出がされています。 機能性表示食品は、消費者庁の認可ではなく届け出になりますが、エビデンスに基づく臨床結果が必須で、製造方法や安全性などの各種情報を届け出る必要があります。そのほかのいわゆる健康食品と比べると、安全面が強化され、消費者にとってわかりやすくなったのではと思います。 機能性表示食品は、実はアメリカの健康食品の制度をベースにして、より消費者にとってメリットがあるように進化しているんですよ。

VOL.2 へ続く >>

森下竜一(もりした・りゅういち)
プロフィール
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米国スタンフォード大学循環器科客員講師を経て現職。内閣官房健康医療戦略参与、内閣府規制改革推進会議委員など、数々の要職を務める。著書に『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(青春出版社:共著)などがある。

「調剤薬局ジャーナル」2018年7月号より転載

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