セルフメディケーション シリーズ 対談:健康リテラシーを上げるために

セルフメディケーション シリーズ 対談:健康リテラシーを上げるために

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連載Vol.2 セルフメディケーション シリーズ 対談: 健康リテラシーを上げるために

森下竜一 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士

連載Vol.2 健康リテラシーを上げるために

池田アイコン
日本流にカスタマイズしているということですか?
森下アイコン
そうなんです。アメリカには栄養補助食品に関する「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」という法律があります。これは名前の通り「健康教育法」で、消費者がこうした商品を手に取ることによって、健康教育に対するリテラシーを上げることが目標です。日本でも同じく、健康食品に対する消費者のリテラシーの向上が目的のひとつです。もちろんベースとなるのは生活習慣と食生活になりますが、機能性表示食品やトクホに関しても上手に利用してもらいたいと思います。 また、普段の食事の中で機能性成分を摂ってもらえるよう、農作物などの生鮮食品に対しても機能性表示を認めました。これは、世界に先駆けて日本だけの制度になります。現時点では、みかん、りんご、もやし、かんぱちなど、13品目ですが、今後ますます広がることによって、サプリメントだけではなく、普段の食事から機能性成分が摂れるという時代になってくると思います。
池田アイコン
世界初とはすごいですね。
森下アイコン
はい。ただ、国民にこの制度がまだ十分に知られていないということと、企業が出したデータをわかりやすく消費者に伝えていく仕組みが足りていないという課題があります。薬剤師の皆さんが機能性表示について聞かれることもあると思いますので、その際はぜひ答えていただきたいですね。皆さんが接する方たちの健康を守るという観点からも、機能性表示食品をうまく活用してもらえたらと思います。
池田アイコン
「たしかに薬剤師の方は、患者さんの様子がわかったうえでお話ができますものね。薬局が果たす役割として理想的ではないでしょうか。
森下アイコン
2015年に健康医療戦略を立てた際、2020年までに健康寿命を1歳延ばすという目標を掲げたのですが、早くも2017年に目標を達成することができました。それで、2020年までにさらに1歳延ばすという、新たな目標が設定されました。それだけ成果が出ているということでしょう。

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森下竜一(もりした・りゅういち)
プロフィール
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米国スタンフォード大学循環器科客員講師を経て現職。内閣官房健康医療戦略参与、内閣府規制改革推進会議委員など、数々の要職を務める。著書に『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(青春出版社:共著)などがある。

「調剤薬局ジャーナル」2018年7月号より転載

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