セルフメディケーション シリーズ 対談: 糖尿病専門の内科医が語る口腔ケアの重要性

セルフメディケーション シリーズ 対談:糖尿病専門の内科医が語る口腔ケアの重要性

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連載Vol.3 糖尿病専門の内科医が語る口腔ケアの重要性 にしだわたる糖尿病内科 院長 西田 亙

にしだわたる糖尿病内科 院長 西田 亙

連載Vol.3 大和言葉で患者さんのファンを増やす

池田アイコン:
糖尿病患者さんは食事など生活の楽しみを制限される中で、治療継続率が下がっていくことがよくあると聞きます。調剤薬局の立場から治療の継続をフォローしていくには、どうすればよいと思われますか。
西田アイコン
患者さんの病状悪化を防ぐために最も大切なことは、定期通院していただくことです。定期的に診察することで患者さんの症状は安定し、クリニックは潤い、スタッフの給与も上がります。患者さん、経営者、スタッフの三者がいいことずくめの「三方よし」です。薬剤師も、患者さんに通ってもらうにはどうしたらいいかということを常に考えてほしいと思います。
池田アイコン
昔の薬局は相談薬局としての役割を担っていましたが、医薬分業が進み、少しでも早く薬を処方することに重きをおく傾向になっているように感じます。薬剤師さんが患者さんの不安や悩み事を聞いてあげる時間があればよいのですが。
西田アイコン
薬の副作用ばかりでなく、「これを飲めば夜中のおしっこの回数が減ってぐっすり眠れますよ」というように、服薬のメリットを伝えて不安を取り除いてあげてほしいですね。そのためには話術も必要です。人にわかりやすく伝えるためには、カタカナ言葉や外来語をできるだけ使わずに、日本古来の「大和言葉」を使うといいですね。私はカタカナ言葉は決して使いません。セルフメディケーションは「自分でできる健康法」です。江戸時代の人たちは「プラーク」を「歯くそ」、「歯周病」を「歯くされ病」と言っていました。「言霊」という言葉があるように、患者さんの心に響く言葉を使って伝えなければなりません。
池田アイコン
早く正確な処方だけを重視するなら、ロボットでいいですからね。
西田アイコン
ロボットには患者さんの気持ちを配慮した会話はできません。特に糖尿病の患者さんは医師から「合併症になるよ」と脅されることが多いので、薬剤師こそ患者さんを元気づけてあげてほしい。誕生日が近ければ「誕生日おめでとうございます」「いつまでも元気でいらしてくださいね」と伝え、歳をとることを前向きにとらえてもらう。そうすると患者さんは勇気づけられて、その薬剤師のファンになるでしょう。それが定期診察をきちんと受けるきっかけとなり、患者さんのためにも、調剤薬局のためにも、クリニックのためにもなるというわけです。

VOL.4 へ続く >>

西田 亙(にしだ・わたる)
プロフィール
糖尿病専門医、医学博士。広島県広島市出身。1988年愛媛大学医学部卒業。1993年愛媛大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。1994年愛媛大学医学部・第二内科助手。1997年大阪大学大学院医学系研究科・神経生化学助手。2002年愛媛大学医学部附属病院・臨床検査医学(糖尿病内科)助手。2004年愛媛大学医学部で医療面接の教育責任者を担当(~2012年)。2008年愛媛大学大学院医学系研究科・分子遺伝制御内科学(糖尿病内科)特任講師。2012年、にしだわたる糖尿病内科を開院、外来で日々医療面接を実施している。

「調剤薬局ジャーナル」2018年3月号より転載

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