セルフメディケーション シリーズ 対談: コーヒーの起源は「薬」だった

セルフメディケーション シリーズ 対談: コーヒーの起源は「薬」だった

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連載Vol.3 患者さんのためのコーヒー学

連載Vol.3 患者さんのためのコーヒー学

連載Vol.3 患者さんのためのコーヒー学

池田アイコン:
岡先生は「コーヒー博士」と言われるほどコーヒー学の専門家でいらっしゃいますが、コーヒーに注目されたきっかけは何ですか。
岡アイコン
私は大学を定年退職する10年ほど前から、匂いの研究を始めていました。がん病棟特有の匂いが、がんの悪液質がもとになっていることを知り、患者さんのためにもそれをどうにか解消できないかと思ったのがきっかけです。学生たちの卒業論文でも匂いをテーマに取り上げていたのですが、ある日、1人の学生が私に、「先生、コーヒーは糖尿病に効くらしいですよ」と言ってきたのです。それでパソコンでコーヒーと糖尿病の関係について調べてみたところ、たくさんのサイトや論文がヒットしたのです。その時、「これからの時代はコーヒーだ!」とすっかりはまってしまったのです。それ以降、今日まで「コーヒーと健康」について研究することがライフワークになっています。

私は『患者のための珈琲学』と題してウェブ(医薬経済社ホームページ)に書いています。これまでのコーヒー研究は、健康な人に対する病気予防の観点からのものがほとんどでした。病気になってしまったら、コーヒーとどう付き合っていけばよいのか、どんなコーヒーなら飲めるのか、といったことはまだよくわかっていないのです。医者はこれまで「病気になったらコーヒーはやめましょう」と言ってきました。最近ではヨーロッパの研究者を中心に、「医者は患者にコーヒーを勧めるべきである」と主張し始めています。日本でもこのような流れになっていくことを願っています。
池田アイコン
カカオとコーヒーは生産地が重なることも多いので、今日はたいへん興味深くお話をうかがうことができました。どうもありがとうございました。

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岡希太郎 先生(おか・きたろう)
プロフィール
1941年、東京生まれ。東京薬科大学卒業、スタンフォード大学医学部に留学し、薬化学と臨床薬理学を専攻、薬学博士(東京大学)。東京薬科大学名誉教授、日本コーヒー文化学会理事。著書に「臨床薬理学」(朝倉書店)、「なるほど くすりの原料としくみ」(素朴社)、「マンガ・珈琲一杯の元気」「珈琲一杯の薬理学」(以上、医薬経済社)、「毎日コーヒーを飲みなさい」(集英社)など多数。

調剤薬局ジャーナル」2018年5月号より転載

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