連載Vol.1 小児糖尿病患者の心と体をケアする 川村 智行  先生 (小児科医、医学博士)

連載Vol.1 小児糖尿病患者の心と体をケアする 川村 智行  先生 (小児科医、医学博士)

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小児糖尿病患者の心と体をケアする

川村 智行  先生 (小児科医、医学博士)

小児糖尿病患者の心と体をケアする

池田
本日はよろしくお願いいたします。先生は小児糖尿病の診察、研究をされていますが、内分泌を専門にされた理由をお聞かせください。
川村
もともと心と体の両方を診たくて、精神科か外科のどちらに行こうか迷っていましたが、小児科であればどちらも診ることができると聞いて選びました。当時の小児科の教授が一色 玄先生という方で、その先生が西日本で最初の小児糖尿病外来を開かれたので、糖尿病の子どもたちが集まってくるという土壌があったのです。ちょうど医者になった時に、そういった患者さんと多く接しているうち、これはやりがいがあると感じました。
池田
小児糖尿病は、今でもまだ広く知られているとはいえませんが、その当時はもっと認知度は低いですよね。
川村
そうですね。ご存知のように、1型糖尿病は急に発症します。それまで普通の生活をしていた子どもが、診断された日から我慢の生活が始まる、そのショックたるや…。残念ながらまだ治してあげることはできませんが、なんとかそういう患者さんの心の問題も併せてケアをしたいと思っています。
池田
患者さんと接するなかで、最も力を入れているのはどのようなところでしょうか?
川村
やはり気持ちの部分を大切にしています。私を含め、医者は最先端で最善の治療を心がけていますが、どんなにいい治療であっても、本人のやる気がないと結局うまくいきませんので。
池田
インターネットが普及している今の時代は、いろいろな意味で自制心をコントロールするのが難しいのかもしれませんね。時代とともに、心のあり方に変化を感じることはありますか?
川村
基本的には変わっていないと思います。昔は1型糖尿病と宣告されると好きなものを食べることもできなかったので、それをなんとか打破したいという気持ちで、カーボカウント(※)という食事療法を始めました。そのおかげで以前と比べると食事面での自由が増えたところはありますが、でも病気が治るわけではありません。自分でコントロールし続けていく必要があり、いちばん大事なのは「気持ちの問題」だという点は、昔も今も同じです。

※カーボカウント:糖尿病治療における食事療法の一つ。食事ごとに含まれている炭水化物の量を計算し、その値に応じてインスリン量を調整して血糖をコントロールする。このため、比較的食事内容の自由度が高い。

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川村 智行(かわむら・ともゆき)
プロフィール
医学博士。大阪市立大学大学院発達小児医学教室講師。1991年大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、カナダ国立カルガリー大学ジュリア・マックファーレン糖尿病研究所研究員を経て2007年より現職。専門は小児内分泌(糖尿病)、小児腎臓病。糖尿病の食事療法であるカーボカウントの第一人者として、その指導と普及に取り組んでいる。小児糖尿病サマーキャンプ(日本糖尿病協会主宰)には毎年参加。著書に『糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント―豊かな食生活のために』(医薬ジャーナル社)などがある。

「調剤薬局ジャーナル」2019年3月号より転載

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