セルフメディケーション シリーズ 対談:次世代型薬局「薬局3.0」とは - 3.在宅訪問から得た“気づき”

セルフメディケーション シリーズ 対談:次世代型薬局「薬局3.0」とは - 3.在宅訪問から得た“気づき”

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連載Vol.3 在宅訪問から得た“気づき”

狭間研至先生 (医師 / ファルメディコ株式会社代表取締役社長)

連載Vol.3 在宅訪問から得た“気づき”

池田
阪大の大学院を修了されて、2004年に会社を作られたんですね。
狭間
はい、自分が社長となって薬局経営に乗り出しました。社長業なんてもちろんやったことがないので、初めは手探り状態でした。医者が薬局を営む意味は何かと考え、「新しい医療の環境をつくる」という理念を掲げました。当社の「ファルメディコ」という社名は、薬学(pharmaceutical sciences)、医学(medical science)、コンピューティングシステムの3つを組み合わせたものです。
狭間研至先生
池田
その発想がとても新しいと感じました。
狭間
僕にしかできない仕事とは何かを考えた時、当時からコンピューターでシステムを作ったりしていたので、ITを使って新しい医療の環境づくりを目指そうと思いました。やはり独自性や強みを社として持つことが重要だと思ったのです。
池田
御社はいち早く在宅訪問を始められたと聞いています。
狭間
社長になったはいいけれど、就職ガイダンスに行っても、調剤薬局がたくさんある中で、うちには誰も来ないんですよ。社長が医者だというのは独自性がありますが、かといって薬局で医学の勉強会に参加したいかと言えば、べつに勉強したいわけじゃない…そんな感じでした。その頃、在宅をやりませんかという話をいただいて、始めてみたら、これが功を奏しました。それまでは処方箋を増やそうと思ったら、病院の横の土地を押さえて、そこに薬局を建てないといけない。でも在宅訪問は関係ありません。急に処方箋が毎週200枚くらい増えまして…薬局はなにも病院の横じゃなくてもいい、ということに気づきました。

VOL.4 へ続く >>

狭間 研至(はざま・けんじ)
プロフィール
ファルメディコ株式会社代表取締役社長、医師、医学博士。1969年大阪生まれ。1995年大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院(現 大阪府立急性期・総合医療センター)、宝塚市立病院にて外科・呼吸器外科診療に従事。2000年大阪大学大学院入学、異種移植をテーマとした研究・臨床を行う。2004年より薬局経営に従事。現在は医師として診療を行いながら、一般社団法人日本在宅薬学会の理事長として薬剤師生涯教育や薬学教育に携わるなど、新しい医療環境の実現に向け幅広い活動を行う。著書に『薬剤師3.0 地域包括ケアを支える次世代型薬剤師』(薬事日報社)、『薬剤師のためのバイタルサイン』(南山堂)など多数。

「調剤薬局ジャーナル」2019年9月号より転載

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