「そうだ、薬局へ行こう!」となる店づくりを 株式会社クラスAネットワーク会長 橋本 薫

「そうだ、薬局へ行こう!」となる店づくりを 株式会社クラスAネットワーク会長 橋本 薫

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連載Vol.4.「箱」から飛び出そう〜Think outside the box!

株式会社クラスAネットワーク会長 橋本 薫

連載Vol.4.「箱」から飛び出そう〜Think outside the box!

池田
御社では「もっちり麦」や「山田養蜂場トリプルプロポリスのど飴」、養命酒製造の黒酢など、数々のヒット商品を生み出していらっしゃいます。薬局で販売する商品とヘルスケアについて、会長の考えをお聞かせください。
橋本
物販においては俗に「千三つ」、1年間後も継続できる商品は1000分の3だと言われています。実際、カナダで協働契約栽培された大麦も、それ自体はまったく売れなかった。しかし売れないから安くする、値引きするという考えかたは間違っている。「いい物を安く」は、やってはいけないのです。ことにヘルスケア商品を保険薬局で売るのですから、それは薬剤師の専門性において選び抜かれた商品でなければなりません。薬剤師がお客さんのために厳選した商品を、その人のために提案する。つまり、これは健康サポートの一貫なのです。当然、顧客とのやりとりが生じますから、相手の悩みや相談事を受け止めた上での商品提供という形になります。翻って言えば、快適な日常生活に貢献したことになる——こうした展開が保険薬局の新しい業態になると考えています。
池田
なるほど、薬剤師さんがセレクトした商品であること自体に価値がありますものね。薬剤師さんのモチベーションもアップすると思いますし、先ほどおっしゃっていた売り場づくりにも力が入るわけですね。会長のお考えになる理想の薬剤師像って、ありますか?
橋本
理想像ですか……つまるところ、志だと思うのですよ。志が芯にあれば、行動に移せる、顧客にいい提案ができる、そう思います。考えてみると、「健康」という言葉は、曖昧さを含んでいます。その人にとっての健康にはさまざまな有り様や意味があるし、未病だから健康かというとそうでもない。そういうケースバイケースのなかで、薬剤師としていい提案ができる人というのはやはり志じゃないでしょうか。
制度や資格に囚われず、大空へ羽ばたいてほしいですね。自信を持って、薬学をベースにした専門性を駆使し、顧客の健康と、その先にある幸せまでも視野に入れた活動がこれからの薬剤師には必要です。そういう薬剤師を待っている人たちがたくさんいます。
英語で"Think outside the box! "という言い回しがありますが、箱から飛び出して、箱の外で考えよう!と言いたいです。社会に必要な人たちなのだから、志を胸に、夢を広げて、楽しさを忘れずに活動してほしい。そう願っています。
池田
今日はクリエイター、プロデューサーとしての橋本会長の矜恃といいますか、理念を伺うことができて幸せでした。どうもありがとうございました。
橋本薫先生

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橋本 薫(はしもと・かおる)
プロフィール
1949年生まれ。1975年武蔵野美術大学産業デザイン学部卒業。1990年株式会社サン・アド取締役企画開発本部長を経て、2004年に株式会社エムエフディ、2006年に株式会社クラスAネットワークを設立。これまでに、『ハーゲンダッツ』『カールスバーグ』、『ニューズウィーク』のブランド構築、『サブウェイ』サンドイッチのFCシステム構築、JR東日本の『GALA湯沢スキー場』、JR西日本の大阪駅『ギャレ大阪』プロデュース、昭和大学病院・順天堂医院などの緑化プログラム等を手がけた。現クラスAネットワークならびにエムエフディ会長。武蔵野美術大学講師も務める。

「調剤薬局ジャーナル」2020年3月号より転載

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