セルフメディケーション シリーズ 対談:おやつとセルフメディケーション

セルフメディケーション シリーズ 対談:おやつとセルフメディケーション

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連載Vol.2 おやつと時間栄養学 「日本を健康にする!」研究会会長 矢澤 一良氏

「日本を健康にする!」研究会会長 矢澤 一良氏

連載Vol.2 おやつと時間栄養学

Q:
「機能性おやつ」が健康にいいというお話を伺いましたが、どんなものを食べるといいでしょう?
A:
どんなおやつを選べばいいか、というのは年代や男女で違ってきます。お子さんや、学生、美容を気にする女性、妊婦さん、残業する人、お年寄り…それぞれ必要な成分が違って、例えば成長期のお子さんにはカルシウム、塾通いの学生には集中力を高めるGABA(Gamma Amino Butyric Acid)※、女性には美肌効果のあるコラーゲンなど、それぞれにおすすめの成分があります。手作りしてもいいですし、こういった成分を強化したおやつもたくさん出ていますから、上手に取り入れてみてはいかがでしょう。
矢澤先生がこれまでに開発に携わった製品の数々
Q:
ぜひ取り入れたいと思います。やはり夜遅く食べたりするのはよくないでしょうから、食べるタイミングも大切ですか?
A:
はい。おやつに限らず、「いつ、何を食べるか」は私たちの体にとってとても重要です。といいますのも、いつ食べ物を体に入れるかによって、栄養素の有効性が高まったり、逆に体によくない影響をもたらしたりすることがわかってきたのです。このような研究は「時間栄養学」と呼ばれ、今注目を浴びているんですよ。
Q:
時間栄養学ですか。どのようなものか、教えてください。
A:
私たちの体のすべての細胞には「時計遺伝子」があって、朝目覚めて夜になったら眠るというような生体リズムを作り出しています。この時計遺伝子によって、栄養素の働きが変わってくるのです。
例えば、夜に糖質を摂りすぎると脂肪になりやすいのは、脂肪酸を脂肪に変える働きをする遺伝子が夜にスイッチオンになるからです。同じカロリーを摂取しても、朝より夜のほうが太りやすいということですね。また、魚に含まれるEPAやDHAは、血液をさらさらにする働きで有名ですが、夜摂るより朝摂ったほうが血中に働きやすいというデータもあります。
Q:
同じものを食べるなら、より効果的に栄養を摂りたいですね。
A:
そうはいっても、なかなか三度の食事で完璧に摂るのは難しいですから、間食であるおやつをうまく使いましょう、というわけです。タイミングよくおやつを摂ることで、過剰な食べすぎを防ぎ、深夜の暴食など健康を害する食習慣を改めることができます。また、血糖値の急激な上昇を抑える効果も期待できますから、血糖値が気になる糖尿病予備軍のような人には上手に摂ってほしいですね。
Q:
「おやつを食べると血糖値が上がって、よくない」というイメージがありますが、そうとは限らないのですね。
A:
そうです。特にGI(グリセミックスインデックス)の値が低い食べ物は、同じ量を摂取しても血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。ですから、『ドクターズチョコレート』のような低GIのおやつは「機能性おやつ」として推奨しています。
※GABA(ガンマ-アミノ酪酸):
発芽玄米に多く含まれるアミノ酸。神経伝達物質として脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高める働きがある。

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矢澤 一良(やざわ・かずなが)
プロフィール
「日本を健康にする!」研究会会長。早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門研究院教授。1972年京都大学工学部工業化学科卒業。株式会社ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務ののち財団法人相模中央化学研究所に入所。東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医科学研究所設立、東京海洋大学大学院ヘルスフード科学講座客員教授、東京海洋大学「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究プロジェクト特任教授を経て2014年より現職。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。『ニッポンを元気にする!「機能性おやつ」の効能&レシピ』(impress QuickBooks) 他著書多数

「日本を健康にする!」研究会 
https://www.nihon-kenko.jp/

ニッポンを元気にする!「機能性おやつ」の効能&レシピ』 矢澤 一良 著
(インプレス・クイックブックス)

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