セルフメディケーション シリーズ 対談:食とセルフメディケーション

セルフメディケーション シリーズ 対談:食とセルフメディケーション

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

連載Vol.4 おいしく、そして健康に 有限会社メディック代表取締役 水野 敦典氏(薬剤師)

有限会社メディック代表取締役 水野 敦典氏(薬剤師)

連載Vol.4 おいしく、そして健康に

Q:
水野:『ドクターズチョコレート』は主に調剤薬局で販売されていますが、もともとカカオはお菓子ではなく薬でした。世界最古のチョコレートショップは薬局だったんですよね。
A:
池田:はい。チョコレートの歴史を紐解くと、原料であるカカオは、マヤやアステカ文明の時代は中南米の王様の滋養強壮の薬だったといわれています。その後ヨーロッパにカカオが伝わり、王侯貴族やお金持ちしか口にできない高価な嗜好品として飲まれていたようです。カカオはそのままだと苦いので、砂糖などを加えて食べやすくして販売したことから、次第にお菓子として扱われるようになりました。
壇上の水野先生。セミナーの開催は200回にもおよぶ。
Q:
水野:その歴史からみても、セルフメディケーションの一翼を担うものとして、チョコレートはうってつけの存在と言えますね。折しも、東京医科大学とハーバード大学の研究チームが健康な男性1,800万人以上(65歳以下、BMI※ 25以下)にチョコレートと糖尿病発症についての関係を調査した結果、チョコレートを食べている人は食べていない人に比べて糖尿病の発症リスクが低いというレポートを発表しました。チョコレートの効能が科学的に立証されたわけです。
A:
池田:そうなんです。カカオに多く含まれるカカオポリフェノールは、血管を柔らかくする働きが認められていて、動脈硬化の予防に効果があるといわれています。また2015年にはうつ病やアルツハイマー病、認知機能との関連が指摘されている BDNF※ という脳神経系の栄養因子が、チョコレートを食べると上昇すると報告されています。
Q:
水野:ポリフェノールは糖尿病の危険因子であるインスリン抵抗性や抗酸化作用がありますし、ストレスに対して抵抗力が高まるといった効果も認められています。まさに現代の健康志向に沿った食品ですね。健康は社会の願いです。その一番近くにいるのが薬局であり、薬剤師です。調剤だけでなく、患者さんと積極的にコミュニケーションをとってセルフメディケーションに貢献していきたいですね。
A:
池田:私どもも、皆さまがおいしいものを食べながら健康を維持するお手伝いができればと思っています。今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

[取材日 2016.12.22]

※BMI
身長からみて体重の割合を示す体格数字。BMI=体重(kg)÷(身長(cm)×身長(cm))×10,000で計算する。BMIが18.5~25未満が普通体重とされ、それ以上になると肥満と判定される。BMIが22の時の体重が標準体重。
※BDNF
Brain-Derived Neurotrophic Factor。脳由来神経栄養因子と呼ばれるたんぱく質で、うつ病などの多くの精神疾患に関与しているとして注目されている。神経の栄養素として新しい神経をつくったり、神経と神経をつなげたり、神経を増殖させたり、ダメージから保護するといった働きをすると考えられている。記憶をつかさどる海馬に多く含まれ、神経細胞の働きを活性化させているといわれている。

<< VOL.1 へ戻る

水野 敦典(みずの・のぶおき)
プロフィール
有限会社メディック(マスタリーE&T研究所)代表取締役・薬剤師。東京薬科大学卒。
田辺製薬株式会社・アポプラスステーションを経て1999年に有限会社メディック設立。調剤薬局のマネジメントやコンサルティングなどに携わる。また「医療・医薬品情報研究会」代表として様々なジャンルの講師を招いてセミナーを開催、その数は200回を超える。
【 TOPページ へ 】