セルフメディケーション シリーズ 対談:血管の健康を守って生活習慣病を遠ざける

セルフメディケーション シリーズ 対談:血管の健康を守って生活習慣病を遠ざける

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連載Vol.3 セルフメディケーション シリーズ 対談: 血管の健康を守って生活習慣病を遠ざける

森下竜一 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士

連載Vol.3 血管の健康を守って生活習慣病を遠ざける

池田アイコン
先生は血管に関しても第一人者でいらっしゃいます。血管の健康におけるセルフメディケーションについて、アドバイスをいただければと思います。
森下アイコン
日本人の死因の1位はがんで、約25~30%を占めます。以下、心筋梗塞、肺炎、脳梗塞と続き、心筋梗塞と脳梗塞を合わせるとだいたい25%。ということは、日本人の死因の50~60%は血管が関係しています。さらに、認知症にも血管が関係しています。血管の健康は、心筋梗塞、脳梗塞、がん、そして認知症の予防にもつながりますので、セルフケアにおいてとても重要なポイントといえるのです。 血管の健康を守るためにはどうすればいいかというと、基本的に高血圧、脂質異常、糖尿病、喫煙、肥満、この5つに気をつけてください。 喫煙の問題点となるのが受動喫煙です。たばこの臭いが届く距離が受動喫煙と思われがちですが、実は、例えば体育館の片隅で誰かがたばこを吸うと、5分後には体育館全体が受動喫煙にさらされます。ですから、建物の中で分煙しても、健康上はあまり意味がないんです。受動喫煙の影響については、データがたくさん出ており、公共の場で禁煙にすると周りの人間も心筋梗塞のリスクが10%減ると言われているんですよ。ですから禁煙指導は、血管の健康を守るための第一歩になりますね。
池田アイコン
薬局ではパッチなどの禁煙補助薬が売られています。外来での禁煙治療もありますが、その手前でサポートすることもできますね。
森下アイコン
次に肥満ですが、これには糖質制限が効果的です。実際、私も半年間、糖質制限をして12キロやせたんです。
池田アイコン
すごいですね! 体調はいかがですか?
森下アイコン
いいですよ。血糖値と中性脂肪が下がりました。普段の食事の中で白米を玄米に換えたり、夕食だけ白米を抜いたりすると効果が出ると思います。また、低糖質のチョコレートなども食されるといいのではないでしょうか。

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森下竜一(もりした・りゅういち)
プロフィール
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授。医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米国スタンフォード大学循環器科客員講師を経て現職。内閣官房健康医療戦略参与、内閣府規制改革推進会議委員など、数々の要職を務める。著書に『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(青春出版社:共著)などがある。

「調剤薬局ジャーナル」2018年7月号より転載

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