セルフメディケーション シリーズ 対談:アリセプト開発者が語る、アルツハイマー根本治療薬の決意

セルフメディケーション シリーズ 対談:アリセプト開発者が語る、アルツハイマー根本治療薬の決意

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連載Vol.3 薬剤師は一歩前に出ることで風景が変わる 杉本八郎 氏(薬学博士)

板倉弘重 氏(医学博士)

連載Vol.3 薬剤師は一歩前に出ることで風景が変わる 杉本八郎 氏(薬学博士)

池田アイコン:
先生はとても若々しくスマートでいらっしゃいます。先生ご自身が生活の中で気をつけていらっしゃることや健康法などはありますか。
杉本アイコン
炭水化物をあまり摂らないようにしています。AGE(週末糖化産物)は老化の原因になりますからね。AGEはアミロイドβの毒性を強める働きもあるんですよ。アルツハイマー病は3型糖尿病とも言われるくらい、生活習慣病の一面もあります。「糖化は老化」です。
健康法と言えるかはわかりませんが、剣道をずっとやってきましたので、週二回は剣道の稽古をしています。頭の体操としては俳句に励んでいます。
池田アイコン
AGEは最近とみに耳にしますね。生活習慣病は食生活が及ぼす影響が大きいと思います。ちょっと手前味噌ですが、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールにも、血管をしなやかにして動脈硬化を防いだり、インスリンの分泌を高めて糖尿病を防いだりする作用があります。また、神経細胞の再生に関わるBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすなど、認知機能を向上するとのデータも報告されています。チョコレートはお菓子としてのイメージが強いのですが、昔は神官や王侯貴族の薬として飲まれていました。私は、今こそおいしいサプリメントとして見直される時代に来ているんじゃないかと思っています。
杉本アイコン
「チョコレートで認知症予防!」と言われる日が来るといいですね。それに<ドクターズチョコレート>というネーミングもいい。しかも、おいしいですね。どんどん広めていってください。

VOL.3 へ続く >>

杉本 八郎(すぎもと・はちろう)
プロフィール
1942年、東京生まれ。工業高校を卒業後、エーザイ株式会社に入社。勤務の傍ら、中央大学理工学部工業化学科を夜学で卒業。新薬開発の研究室で、高血圧治療薬「デタントール」、そして世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の創薬に成功した。アリセプトは1997年に米国で、1999年に日本で承認・発売。1998年、薬のノーベル賞と言われる英国ガリアン賞特別賞を受賞。1999年に日本薬学会技術賞、化学バイオつくば賞、2002年に恩賜発明賞を受賞。京都大学薬学研究科創薬神経科学講座教授(2003~2010年)。京都大学大学院薬学科最先端創業研究センター教授(2010~2012年)。同志社大学脳科学研究科教授(2012~2016年)、同志社大学生命医科学研究科客員教授(2016年~現在)。日本薬学会理事。有機合成化学協会理事。一般社団法人認知症対策推進研究会代表理事。グリーン・テック株式会社代表取締役。趣味は俳句:日本俳人協会会員、俳誌風土同人会長。剣道教士七段。

「調剤薬局ジャーナル」2018年9月号より転載

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