連載Vol.1 指示待ち人間にならない人材を育てる 山田 友香  氏 (阪神調剤薬局 副社長、阪神調剤ホールディング株式会社 常務取締役兼人事本部長)

連載Vol.1 指示待ち人間にならない人材を育てる 山田 友香  氏 (阪神調剤薬局 副社長、阪神調剤ホールディング株式会社 常務取締役兼人事本部長)

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指示待ち人間にならない人材を育てる

山田 友香  氏 (阪神調剤薬局 副社長、阪神調剤ホールディング株式会社 常務取締役兼人事本部長

指示待ち人間にならない人材を育てる

池田
セルフメディケーションを考える時、超高齢社会にあって「健康寿命」をいかに延ばすかが課題となります。となると、薬局も"未病"への取り組みに大きく舵を切っていくと思うのですが、御社のお考えはいかがですか。
山田
阪神調剤薬局は、「薬剤師は"処方箋を持っていない方(まだ病気ではない人)に対して、どのようにお越しいただくのか"に向き合わなければならない」と考えています。当社は、大阪大正区に『ちしまメディカルパーク店』(※1)をつくり、そこでの取り組みを全国に広げようとしています。チェーンストアで働く薬剤師は、ともすると「言われたことを、言われたとおりにやればいい」といった指示待ち人間に陥ってしまいがち。私は薬剤師一人一人に「あなたはどう思うのか」と問いかけ、自分で答えを考える人になってもらいたいと思っています。
池田
『かかりつけ薬局』や『かかりつけ薬剤師』への取り組みはどのようになさっていますか?
山田
当社は、まだかかりつけ薬剤師にはなれない一年目の新人でも、「自分が患者さんの"かかりつけ"になります!」という高い意識を持って現場に立てるように指導しています。その一方で、古くから在籍する薬剤師の中には、どうしても接遇が苦手な人もいます。当社にとっては、彼ら彼女らも大事な人財ですから、役割を分業することで、それぞれに活躍の場を用意することが大切だと考えています。
山田友香先生
池田
たしかにかかりつけ薬剤師の問題は、現実に照らし合わせると、政策が先走っている感もありますね。現場との温度差もあるでしょうし、経営する側も難しい舵取りを迫られているのではないでしょうか。
山田
やはり、悩ましいのは人事異動の問題です。かかりつけ薬剤師は、生涯にわたり一人の患者さんを担当するのを良しとする制度です。ですが、薬剤師に限らず、人は様々な現場で経験を積むことで成長する側面がありますよね。生涯一つの薬局で働くのもいいですが、当社ではいろんな機能を持つ薬局がありますので、異動を含め、薬剤師本人の希望を聞いて配置するようにしています。
池田
それは働く立場からすると、とてもいいですね。たくさんの薬剤師さんを抱える御社で人事を統括するのは大変だと思いますが、人を活かすマネジメントを行えば雇用される側も安心ですものね。

(※1)ちしまメディカルパーク店:
"日本一の健康寿命地域を目指す"をコンセプトに掲げる健康サポート薬局。薬局スペースの他、クリニック入居スペース6区画、本格的なキッチンを備えたコミュニティスペースがあり、 気軽に立ち寄れる「医療のテーマパーク」を謳う。

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山田 友香(やまだ・ゆか)
プロフィール
武庫川女子大学を卒業後、阪神調剤薬局に入社。数店舗でスタッフとしての経験を積み、本社勤務となる。店舗を運営・管理する薬局管理部長、薬局人事を統括する薬局統括本部長を経て、副社長に就任。阪神調剤ホールディング株式会社常務取締役・人事本部長を兼任。

「調剤薬局ジャーナル」2019年5月号より転載

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