セルフメディケーション シリーズ 対談:チョコレートとカラダのおいしい関係について

セルフメディケーション シリーズ 対談:チョコレートとカラダのおいしい関係について

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連載Vol.1 チョコレートと腸内フローラ 愛知学院大学心身科学部 客員教授 大澤 俊彦氏(おおさわ としひこ・農学博士)

愛知学院大学心身科学部 客員教授 大澤 俊彦氏(おおさわ としひこ・農学博士)

連載Vol.1 チョコレートと腸内フローラ

Q:
今回は、「攻めの栄養学」の提唱者、大澤先生にお話を伺います。「攻め」という言葉には、前向きな姿勢が表れていて素敵です。健康になるための食品を積極的に選ぼうということですね?
A:
はい。間食や飲み物も含めて、多種多様な食品をしっかりとることが大切なんです。糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルという五大栄養素、そして、第6の栄養素と言われる食物繊維。それ以外は非栄養素と呼ばれてきました。ところが、ポリフェノールやクロロフィルなど、植物に含まれる有効成分、いわゆる「フィトケミカル」をある程度とらなければ、生活習慣病や認知症のリスクが高まるという論文がたくさん出てきました。今では、非栄養素が私たちの健康維持に有効とわかり、食物繊維に次ぐ第7の栄養素とも呼ばれています。
Q:
たいてい私たちは野菜不足なので、積極的にとらなければならないわけですね。
A:
そうです。「健康日本21」※では、1日350g以上の野菜を食べることを推奨しているのですが、全国平均で300gもとれていません。バランスのとれた理想的な食生活が実は難しいからこそ、「攻め」の姿勢で健康づくりに取り組む必要があるわけです。フィトケミカルには、それぞれ抗酸化作用、免疫力を高める作用、解毒作用があります。ニンジンなどのセリ科、玉ねぎなどのユリ科、キャベツなどのアブラナ科、トマトなどのナス科、かんきつ類・ベリー類、キュウリなどのウリ科、海藻類、ゴボウなどのキク科、きのこ類、マメ類、穀類、香辛料。以上12の食品群が、生活習慣病を防ぐと言われています。いかにバランス良く組み合わせて、合理的に摂取するかが重要です。
Q:
大澤先生は、Antioxidant Unit研究会理事長として、米国で開発されたORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity:活性酸素吸収能力)分析をベースに、抗酸化物質の量を正確にわかりやすく表示する活動をされています。具体的に、どのように食品を選べばいいでしょうか?
A:
食品の機能に関する科学的な知見は、年々増えています。抗酸化作用のあるフィトケミカルとして最初に話題になったのは、緑茶のカテキンでした。次に、赤ワインのポリフェノールですね。そして今、カカオポリフェノールが非常に注目されています。ポリフェノールには活性酸素を除去する作用があります。過剰な活性酸素が引き起こす老化や生活習慣病、炎症などを予防できるわけです。でも、健康に良いものも、とりすぎは毒です。朝昼晩の食事を基本として、その中で足りないものを補うつもりで取り入れましょう。
※「健康日本21」:
政府が健康増進法に基づいて策定した「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)」のこと

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大澤 俊彦(おおさわ・としひこ)
プロフィール
愛知学院大学心身科学部 客員教授。農学博士。1946年兵庫県生まれ。1969年東京大学農学部農芸化学科卒業、1974年同博士課程修了後、1977年までオーストラリア国立大学でリサーチフェロー。名古屋大学で機能性食品の研究を続け名誉教授に。1989年よりカリフォルニア大学デービス校環境毒性学部客員教授。2010年に名古屋大学発ベンチャー「株式会社ヘルスケアシステムズ」を立ち上げる。同年より現職。Antioxidant Unit(食品の抗酸化力の統一指標:略称A.O.U)研究会理事長、日本酸化ストレス学会理事、日本食品安全協会理事、「日本を健康にする!」研究会副会長などを務める。共著に朝倉書店『チョコレートの科学』 (食物と健康の科学シリーズ) など。

※掲載プロフィールは取材日(2017.2.16)当時のものです。

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