- 調剤薬局の経営者からは、若手の薬剤師が熱意をもって入社してきても、それがなかなか継続しないという話を聞きます。「健康ステーション」といった役割を国から求められ、変化しつつある調剤薬局で、薬剤師さんも自分たちがどのように変わっていけばいいのか、ロールモデルが見えていないのではないでしょうか。

- 入社時の熱意や情熱を持ち続けるというのは実際に難しく、モチベーションの低下もある程度はやむを得ないと思います。誰でも「よし、頑張ろう!」という思いは抱くけれど、時間が経つとそれこそ血糖値スパイクのように消えていくのが普通だと思うんですね。
しかし私は、プロフェッショナルというのは、その情熱を維持することが一つの条件なんじゃないかと。つまり、その領域でプロになる人は、常に情熱を持って挑んでいると思うんです。ではどうすれば情熱を持続することができるか? それは外から受ける刺激です。勉強会に参加してもいいでしょうし、学会に行くのもいいでしょう。医学ジャーナルに目を通して知識を増やすのもいいですね。
薬学部の先生方は、薬物代謝や薬物動態など、私たち医師ができないことをたくさん研究していらっしゃいますから、薬剤師の学術フィールドは広いと思います。また、患者さんとのちょっとした会話や、ちょっと突っ込んだ話の中に、刺激の種があるかもしれません。患者さんは、薬局の人を頼りにしていますよ。時には医師よりも。
- 患者さんのほうから話を聞きたいと、声をかけてくる方がいらっしゃいますものね。

- 継続というのは、自分に対して「刺激を自分自身で与え続けていく」ことです。その刺激を、自分がワクワクできるか、楽しめるかということでもあります。少なくとも私はそのように生きてきました。
でも自分があまりにも疲れ果てていたら、そういう感覚にはなれない。だからプロフェッショナルであるためには自分自身のコンディショニングも大切です。そう、もちろん薬剤師もです。
- コンディショニング、大事ですね。セルフメディケーションにも通じるお話だと思います。久保先生、本日はお忙しい中、ありがとうございました。

- 久保 明(くぼ・あきら)
プロフィール - 1979年、慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。米国ワシントン州立大学医学部に留学後も、一貫して抗加齢医学・生活習慣病の研究と臨床に取り組む。日本臨床栄養協会理事、厚生労働省薬事・食品衛生審議会専門委員、日本抗加齢医学会評議員、東海大学医学部教授等、歴任。現在、常葉大学健康科学部長・教授、東海大学医学部客員教授。医療法人財団百葉の会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長。
「調剤薬局ジャーナル」2019年1月号より転載
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