西洋医学と東洋医学の融合で、ガン患者を救う! 横内醫院院長 横内正典氏

西洋医学と東洋医学の融合で、ガン患者を救う! 横内醫院院長 横内正典氏

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連載Vol.1.東洋医学を取り入れたガン治療に目覚めて

横内醫院院長 横内正典氏

連載Vol.1.東洋医学を取り入れたガン治療に目覚めて

池田
本日は、末期ガンを含め多くのガン患者さんと向き合い、東洋医学にも詳しい横内正典医師にお話を伺います。
もともと外科医でいらした横内先生が漢方や鍼灸といった東洋医学をガン治療に取り入れたきっかけを教えてください。
横内
私は弘前大学医学部に学び、49年前に外科医になりました。ご存じのとおり手術の前には必ず手洗いをするのですが、その消毒液にかぶれて、重症の皮膚炎になってしまいましてね。当時勤めていた病院の皮膚科で3か月治療を受けたのですが、いっこうに改善しません。このままでは外科医を辞めなければならなくなりそうでした。そんな時、漢方があるじゃないかとひらめいたのです。
私は中国の旅順の生まれで、生まれ故郷のことがいつも頭の中にありましたから、横浜の知り合いの医師に連絡して中華街で漢方薬を買って送ってもらったのです。それを飲んだら一週間で治ってしまいました。
そこで、ガンの専門医として、治療に効果のある漢方薬があるのではないかと考えたのです。ところが日本の漢方の本には「ガンは漢方では治せない」と書いてある。でも現代医学である西洋医学で治せるかというと、そうではない。手術をしても抗ガン剤を用いても、ガンは再発する可能性があります。そこで私は臨床医として働きながら、漢方の勉強を続けることにしました。
漢方以外の東洋医学にも興味がありました。最初は医学生の時ですね。従兄で産婦人科医の蠣崎要が針麻酔で帝王切開の手術を行ったんです。俄然、関心が湧いて、彼が開いた鍼灸の講座を覗きに行きました。すると、西洋医学の治療と同時に針治療も行っていました。
例えば「癌性疼痛」は西洋医学では痛み止めを処方しますが、針治療も効果があることを知りました。私は気功にも興味を持ち、台湾の高名な張明澄先生のもとで学びました。
1972年、日中の国交が正常化すると、中国から多くの情報が入ってくるようになりました。先ほども言ったように、漢方ではガンは治せないというのが一般的な見解でしたが、中国には抗ガン漢方というものがあると知ったのです。
漢方薬は、免疫力を高めるものとしてよく知られ、これは西洋医学でも認められていますが、「補剤」と呼ばれる位置づけにすぎない。しかし、漢方薬にはもう一つ、「攻剤」と呼ばれるものがあり、これがガンを攻撃する「抗ガン漢方」です。
漢方では人の体の正気が不足して邪気が上回り、陰陽が失調することで腫瘍、つまり、ガンができると考えます。この腫瘍を治すには、人体の抵抗力を強化し、病邪であるガンを攻撃しなければなりません。これが攻剤=抗ガン漢方の役割です。
横内正典氏

中医学の大家、張明澄先生の著書

池田
私たちはつい西洋医学に頼ってしまい、確かに「補剤」として漢方を捉えています。日本人の漢方に対する考え方と、中国の人の漢方に対する考え方が違うのでしょうか?
横内
そうでしょうね。私が異なる見解を持つようになったのは中国生まれという点が大きいかもしれません。実際に、ガン治療に漢方を取り入れるようになって、治療の成績も上がったので、1987年に日本癌学会で発表しました。そうしたら、北海道大学に留学していた中国人の医師が私の発表を見て、北京医科大学(2000年に北京大学と合併)に招待してくれましたよ。

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横内 正典(よこうち・まさのり)
プロフィール
1944年、中国旅順市生まれ。71年、弘前大学医学部卒業、函館市立病院外科に勤務。73年、弘前大学医学部第二外科学教室に入局し、消化器癌を研究。82年、青森県町立田子病院長として赴任。94 年、漢方と気功による癌治療を実践すべく東京都東中野に横内醫院を開業、全国から末期癌の患者がひっきりなしに訪れることで知られる。医療法人社団心醫会 横内醫院院長。著書に『究極の癌治療』(光雲社)、『絶望を希望に変える癌治療』『抗癌剤の副作用で苦しまないために』(たま出版)等、多数。

「調剤薬局ジャーナル」2020年9月号より転載

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