株式会社エビータ代表取締役 浅野氏(管理栄養士)

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連載Vol.1.コロナ禍で広がる”栄養格差”

株式会社エビータ代表取締役 浅野氏(管理栄養士)

連載Vol.1.コロナ禍で広がる”栄養格差

池田
本日は、管理栄養士としてこれまで1万8,000人に栄養相談を実施し、現在は食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングなど多方面でご活躍の浅野まみこ先生にお話を伺います。
コロナ禍でなかなか外に出られず、運動不足が気になる人も増えています。そうなると、やはり心配なのが生活習慣病です。浅野先生は糖尿病の患者さんへの栄養相談など、食から人々の健康のサポートをしていらっしゃいますが、日常が大きく変わってしまった中で、食生活では何に注意すればよいのでしょうか。
浅野
コロナ禍で問題となっているのは「栄養格差」だと思います。食に対する意識が高まっているのは感じますが、もともと食に対して興味があり、栄養バランスなどの基礎知識がある方はバランスのよい食生活をおくっています。一方、これまであまり意識してこなかった、それほど関心がない方々が在宅ワークで一人になると、自己判断で偏った食事になってしまっています。
会社では同僚や取引先の人たちと食事を共にすることで、食べるものや量にバリエーションが生まれるのですが、在宅になり、しかも一人で食事をすると、誰の視線もありませんからつい好みの物ばかり食べたり、量が自制できなくなったりします。その結果バランスが崩れてしまう方々がいます。
このような両者の差が栄養格差として表れているのかなと思います。
浅野まみこ氏
池田
食生活にも客観性が必要なんですね。
浅野
栄養面では免疫力を高めるといわれているビタミンDの摂取が注目されています。2020年に厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準」で、20歳以上の男女のビタミンD摂取量の目安は8.5μg/日ですが、実際には7.3μg/日(平成30年国民健康栄養調査より) で、足りていません。ビタミンDは紫外線に当たれば体内でも作られるので不足分を補えるのですが、ステイホームで外に出る時間も減ってしまっているので、さらに不足しがちになっています。
池田
意識して摂取する必要があるのですね。
浅野
ビタミンDを多く含むのは、魚やキノコですが、知識がなければなかなか食べる機会が少ない食材ですから。そういった点でも栄養格差が広がっていると感じます。

VOL.2 へ続く >>

浅野 まみこ(あさの・まみこ)
プロフィール
管理栄養士。株式会社エビータ代表取締役。1997年、東京家政大学家政学部栄養学科卒業。同年に、管理栄養士国家資格を取得。総合病院、女性専門クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、健康サービスコンサルティングや商品開発、人材育成を得意とする。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や駅弁、コンビニ商品のプロデュースなども担当。実践型栄養アドバイスが人気を呼び、「コンビニ外食健康法」「大人の食育」などの講演で年間100時間以上、全国を飛び回っている。2018年より、現役栄養士のスキルアップスクール「栄養士大学」を開講、栄養士大学学長、栄養士戦隊代表を務める。NHK『おはよう日本』、TBS『名医のTHE 太鼓判』をはじめ、メディアや雑誌に多数出演。新著に『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)、『コンビニ食・外食』で健康になる方法』(草思社)等。夕刊フジにコラム『きょうから実践 外食・コンビニ健康法』を7年間連載中。

「調剤薬局ジャーナル」2020年11月号より転載

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