食の専門家、栄養士が語るセルフメディケーション 株式会社エビータ代表取締役 浅野氏

食の専門家、栄養士が語るセルフメディケーション 株式会社エビータ代表取締役 浅野氏

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連載Vol.2.コンビニや外食、飲み会もOK!1・1・1 の組み合わせを提案

浅野まみこ氏

連載Vol.2.コンビニや外食、飲み会もOK!1・1・1 の組み合わせを提案

池田
先生は『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』や『血糖値を下げる 夜9時からの遅ごはん』などの著書がおありです。現代人にとってコンビニ食は欠かせない存在ですから、どう付き合っていくかが課題です。選び方のコツなどはありますか。
浅野
安易に幕の内などの弁当を選ばないことですね。お弁当やパスタを単品で買うと、どうしても栄養が偏ります。ごはん系を1品、野菜が入っているものを1品、タンパク質系を1品と、3品を組み合わせて買う「1・1・1」で覚えてください、とお伝えしています。
例えばラーメンを食べたかったらごはん系で1品とします。野菜としてサラダかカット野菜で1品、さらにタンパク質系として卵やサラダチキン、焼きサバなどから1品。これで3品そろいます。
もしパスタを食べたいのだったら、冷凍野菜のトッピングがおすすめです。ブロッコリーやホウレン草などの冷凍野菜をストックしておき、パスタを温めるときにトッピングして同時に温めれば、手軽に野菜を加えることができます。一食当たりの単価も抑えられるのでおすすめです。
浅野まみこ氏
池田
いいですね。それなら、忙しくてもできそうな気がします。単価が考えられているのもいいですね。
健康のためには寝る3時間前までに食事を済ませましょうといわれますが、実際には職種や業態の関係で夜遅くに食事をしなければならない人も多いと思います。その場合は食べるものに注意すべきなのか、それとも量に注意すべきなのか。どちらも、でしょうか?
浅野
両方ですね。晩御飯が遅い時間になりそうな時は、間食をうまく利用することをおすすめします。夕方に間食として、おにぎりやうどんといった炭水化物で空腹を満たし、晩御飯にはタンパク質と温かい汁ものなどを食べるとバランスがとれます。
池田
1日のスケジュールをたてる時、仕事だけでなく食べる予定も考えなければならないのですね。
浅野
スケジューリングはとても重要です。食べることって結構頭を使うんですよ。ですからカラダマネジメント®の話をするときは、「食事をきちんと管理できる人は、仕事もできる人ですよ」とお伝えしています。
『血糖値を下げる 夜9時からの遅ごはん』という本を書いたきっかけは、制限をつけた食生活で理想を目指そうというのが、あまり現実的ではないと思ったからです。今の生活でできる範囲で、ベストの食べ方を提案できたら……と思って。
栄養士としては「夜9時以降は食べちゃダメ」と言うのは楽ですが、それよりも「夜9時以降に食べるなら、これを──」と言ったほうが皆さんも実行しやすいですよね。自分で作れない人がコンビニを利用するならこれを選んで、とか。甘いものを食べたいのなら、これにしたほうがいい、とか。低糖質のドクターズチョコレートもまさに選択肢の一つですが、できる範囲でよりよいチョイスができるように提案しています。
池田
昔は、糖尿病の人は外食など論外といった感じでしたが、考え方がかなり変わってきていますものね。
浅野
変わりましたね。例えば飲み会なんかも、糖質制限をしている方には「幹事をやりなさい」と伝えています。幹事ならヘルシーなメニューのあるお店をチョイスできますし、揚げ物などカロリーの高いものは自分の席から遠いところに置いてもらうとか。食べ物のお皿の配置も決められますから。
お酒も飲み過ぎを防ぐために、レモンを入れた炭酸水を用意してもらうといいですよ。これは傍から見ると、お酒を飲んでいるように見えますから。
池田
そのアイデアはいいですね。全部ダメといわれるより現実的ですし、糖尿病の患者さんもリラックスして食事指導を受けられそうです。
浅野
患者さんは、栄養士に「お酒を飲んだらダメです」と言われるに決まってると思っていますからね。でも私たちが伝えたいのは、できる範囲でいかに食生活を改善していくかということ。信頼関係を築いて、本音を話してもらえるかというところが大切なんです。あれもダメ、これもダメではなく、どんな時にどのような食べかたをすればいいか、その応用編みたいなことを提案していきたいと思っています。

VOL.3 へ続く >>

浅野 まみこ(あさの・まみこ)
プロフィール
管理栄養士。株式会社エビータ代表取締役。1997年、東京家政大学家政学部栄養学科卒業。同年に、管理栄養士国家資格を取得。総合病院、女性専門クリニック、企業カウンセリングにて1 万8,000人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、健康サービスコンサルティングや商品開発、人材育成を得意とする。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や駅弁、コンビニ商品のプロデュースなども担当。実践型栄養アドバイスが人気を呼び、「コンビニ外食健康法」「大人の食育」などの講演で年間100時間以上、全国を飛び回っている。2018年より、現役栄養士のスキルアップスクール「栄養士大学」を開講、栄養士大学学長、栄養士戦隊代表を務める。NHK『おはよう日本』、TBS『名医のTHE 太鼓判』をはじめ、メディアや雑誌に多数出演。新著に『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)、『コンビニ食・外食』で健康になる方法』(草思社)等。夕刊フジにコラム『きょうから実践 外食・コンビニ健康法』を7年間連載中。

「調剤薬局ジャーナル」2020年11月号より転載

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